前回の続きです。
2020年5月に薬価収載予定の各薬剤の
疾患や作用機序について解説していきます。
詳しく知りたい方は
ぜひ調べてみてくださいね。
【10】ビルテプソ点滴静注
ビルテプソの適応は
「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の
欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー 」です。
(長いですね)
一般名:ビルトラスセン
販売メーカー:日本新薬
規格:250mg (250mg 5mL 1瓶)
用法・容量:
80mg/kgを週1回、1時間かけて静脈内投与 する。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーについて
難病と指定されている「筋ジストロフィー」の中でも最も多いとされいます。
日本には5000名ほど患者がいるとされています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは
男児にのみ発症します(まれに女児でも発症)。
進行性の筋萎縮症です。
症状
- 運動機能の低下(3~5歳ごろ)
10歳ころには歩行が困難になります。 - 関節が固まる
- 呼吸機能低下
など
治療はステロイドが推奨されていますが
根本的治療ではありません。
X染色体短腕(Xp21)の中の変異によるものとされています。
この遺伝子は「ジストロフィン」というタンパク質をコードしています。
このジストロフィンの欠乏が原因です。
ジストロフィンは79個のエクソンがあります。
今回は、エクソン53付近に変異が起きています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者さんでは
エクソン51が欠損しているタイプがいます。
その場合、上手くジストロフィンが作られなくなり、
欠乏していきます。
作用機序
エクソン53スキッピングとは…
ビルテプソはアンチセンス核酸薬です。
標的はエクソン53であり、ここにビルテプソが結合することで
エクソン53の読み込み(スプライシング)がスキップされます。
そうすると正常なものより少し短めですが
ジストロフィンが作られます。
ジストロフィンが合成されるので症状改善が期待できます。
今回、エキソン53のスキップによる治療なので
当然ほかのエキソンが変異している患者には使えません。
【11】オゼンピック皮下注
オゼンピック皮下注の適応は「2型糖尿病」です。
一般名:セマクルチド 遺伝子組み換え
販売メーカー:ノボノルディスクファーマ
規格:0.25mgSD 0.5mgSD 1.0mgSD (0.5mL 1キット)
用法・用量:
週1回0.5mgを維持用量とし、皮下注射する。
ただし、週1回0.25mgから開始し、
4週間投与 した後、週1回0.5mgに増量する。
週1回0.5mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、
週1回 1.0mgまで増量することができる。
2型糖尿病 インスリンとGLP-1
生活習慣病の一種ですね。
血糖値が高い状態が続いてしまっている病気です。
血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」が
膵臓から分泌されなくなるのが1型
肥満などにより効きづらくなるのが2型といったように分類できます。
GLP-1
インスリン分泌を促進させるホルモン。
血糖値が低い場合にはインスリンを促進させないため
過剰分泌されても低血糖の可能性は低いとされています。
「DPP-4」というタンパク質によってすぐに分解されます。
治療として
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
などがあります。
薬剤(経口 血糖降下薬)の種類は豊富です。
作用機序
オゼンピックはGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)です。
GLP-1のアミノ酸配列をイジってDPP-4に分解されにくくしています。
SD製剤:単回投与ペン製剤
【12】ルムジェブ注
ルムジェブ注は「インスリン療法が適応となる糖尿病」です。
一般名:インスリン リスプロ 遺伝子組み換え
販売メーカー:イーライリリー
規格:カート(300単位1筒)、ミリオペン(300単位1キット)
ミリオペンHD(300単位1キット)、
100単位/mL(100単位1mLバイアル)
(カート/ミリオペン/ミリオペンHD)1回2~20単位を毎食事開始時に皮下注射するが必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。ときに投与回数を増やしたり、持続型インスリン製剤と併用したりする。投与量は患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量としては通常1日4~100単 位である。(100単位/mLバイアル)1回2~20単位を毎食事開始時に皮下注射するが、必要な場合は食事 開始後の投与とすることもできる。ときに投与回数を増やしたり、持続型インスリン製剤と併用したりする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量としては通常1日4~100単 位である。 必要に応じ持続皮下注入ポンプを用いて投与する。
インスリンが必要な糖尿病について
糖尿病の患者さんで以下に該当するとインスリン療法が必要です。
- 他の治療法で血糖コントロールを良好に保てないとき
- 著しい高血糖状態にあり、血糖値をすぐに下げる必要があるとき
- 糖尿病患者さんの手術時(前後もふくめる)
- 糖尿病患者さんで感染症にかかってしまったとき
- 糖尿病患者さんで妊娠中・授乳中(妊娠希望のとき)
- 1型糖尿病患者さん(ハネムーン期や緩徐進行1型糖尿病の初期では必ずしも必要でないときもある)
- 2型糖尿病ではすい臓を休める目的
インスリン療法では直接注射などで体内にインスリンを補充します。
インスリン製剤は3つに分類できます。
①追加分泌を補うインスリン製剤
②基礎分泌を補うインスリン製剤
③追加分泌と基礎分泌の両方を補うインスリン製剤
作用機序
ルムジェブは
既存の超速効型インスリンよりも
皮下からの吸収を速めた新規の超速効型インスリンアナログ製剤です。
既存の超即効型インスリン製剤「ヒューマログ注」の有効成分に
添加剤を加えて皮下吸収を速めています。
【13】ソリクア配合注
ソクリア配合注の適応は
「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」です。
一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド
販売メーカー:サノフィ
規格:ソロスター(1キット)
用法・用量:
5~20ドーズ
(インスリン グラルギン/リキシセナチドと して5~20単位/5~20μg)
を1日1回朝食前に皮下注射する。
1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減するが、
1日20 ドーズを超えないこと。
本剤の用量単位である1ドーズには、
インスリン グラルギン1単位及び リキシセナチド1μgが含まれる。
作用機序
ソクリアはインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合剤です。
そのため、ルムジェブと違い、適応は「2型糖尿病」となっています。
ソクリアは以下の配合剤です。
- ランタス注 :持続型インスリン製剤
- リキスミア皮下注:GLP-1受容体作動薬
インスリン製剤でインスリンの基礎分泌を補助しつつ
GLP-1受容体作動薬で、すい臓からのインスリン分泌を促進させます。
2型糖尿病では
インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬は併用されているケースがあるので
配合剤にすると簡便になりますね。
【14】オニバイド点滴静注
オニバイド点滴静注の適応は
「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌 」です。
一般名:イリノテカン塩酸塩水和物
販売メーカー:日本セルヴィエ
規格:43mg (10mL1瓶)
用法・用量:
フルオロウラシル及びレボホリナートとの併用において、
1回70mg/m2(体表面積)を90分かけて2週間間隔で点滴静注する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
膵がんについて
すい臓の働き
- 食物の消化
- 胃酸の中和
- 血糖値の調節(インスリン・グルカゴン分泌)
そのすい臓に「がん」ができてしまいます。
がんの死因別の死亡率としては
昭和56年以降、すい臓がんが1位を取り続けています。
※すい臓がんになった人と、すい臓がんで死亡した人の数が
ほぼ一緒であります。
非常に怖い病気の一種です。
治療では以下のアルゴリズムが、ガイドラインで示されています。
出典:すい臓がんの基礎知識
抗がん剤としては
- ゲムシタビン(ジェムザール)
- エスワン(T-S1)
- ゲムシタビンとエルロチニブ併用
- FOLFIRINOX療法
- ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用
などが挙げられます。
オニバイドは上記の治療で
効果がみられなかった患者さんに使われるお薬です。
作用機序
オニバイドは
イリノテカンをリポソームの中に入れ込んだ構造になっています。
リポソーム化によって、効果の増強・副作用の軽減が期待されています。
また、すい臓がん治療薬において
初めてのDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)製剤です。
オニバイドはⅠ型トポイソメラーゼを選択的に阻害します。
阻害に成功していると、がん細胞の増殖を抑えることができます。
…
がん細胞のDNAは二本鎖の2重らせん構造です。
増殖にあたっては
この二本鎖を一本鎖にほどく必要があります。
二本鎖DNAには、すっごいねじれている部分(超らせん構造)
が存在しています。
その過剰な「ねじれ」を修正すると正常に増殖できるようになります。
Ⅰ型トポイソメラーゼというタンパク質は
その「ねじれ」を修正しています。
…
そのため、Ⅰ型トポイソメラーゼを阻害すると
がん細胞の増殖を抑えることができます。
イリノテカンは、がん細胞への移行性が高いです。
さらに、リポソーム化によって効率的にがん細胞まで輸送できるため
有効性の増強・副作用の軽減が期待できるのですね。
【15】エンハーツ点滴静注
エンハーツの適応は
「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌
(標準的な治療が困難な場合に限る) 」です。
一般名:トラスツズマブ デルクステカン
販売メーカー:第一三共
規格:100mg (100mg 1瓶)
用法・用量:
1回 5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば
2回目以降の投与時間は30分間まで 短縮できる
HER2陽性の乳がんについて
乳がんは女性のがんの中では1番多いです。
乳がんは早期発見であるほど治癒率が高い病気であり、
2センチ以下のしこりで、リンパ節への転移がない状態であれば約90%の人が
10年生存しています。
がんが小さいうちに発見できれば、女性にとって大切な乳房を温存できます。
乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。体内のエストロゲンが多いこと、体内にエストロゲンを加える経口避妊薬の使用、閉経後のホルモン補充療法は乳がんの発生する危険性を高めます。
HER2
乳がん患者のがん細胞の細胞膜に過剰発現しているタンパク質。
陽性率は15%~30%。
正常な細胞にもわずかに存在し、
細胞の増殖調節能をになっていると考えられていますが、
過剰に発現、活性化することで細胞の増殖制御ができなくなりがん化します。
作用機序
エンハーツは
- HER2を特異的に認識する抗体医薬品のハーセプチン(トラスツズマブ )
- 抗がん剤のデルクステカン
を結合させた構造です。
いわゆる、薬物抗体複合体(ADC:Antibody Drug Conjugate)です。
エンハーツは
HER2を認識して、がん細胞に結合すると内部に侵入していきます。
がん細胞の内部には「カテプシン」が発現しており
そのカテプシンが作用して
エンハーツ複合体からデルクステカンが切り離されます。
その後、デルクステカンが細胞増殖を抑えるというメカニズムです。
【16】ステボロニン点滴静注
ステボロニンの適応は
「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌 」です。
一般名:ボロファラン(10B)
販売メーカー:ステラファーマ
規格:バッグ9000mg/300mL (9000mg/300mL 1袋)
用法・用量:
1時間あたり200mg/kgの 速度で2時間点滴静注する。
その後、病巣部位への中性子線の照射を開始し、
照射中は1時間あたり100mg/kgの速度で
ボロファラン(10B)を点滴静注する
頭頚部がんについて
顔から首までの範囲にできる「がん」を総称したもの。
主な種類
- 口腔がん (30%ほど)
- 咽頭がん(合計で33%ほど)
(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん) - 喉頭がん(17%ほど)
- 鼻・副鼻腔がん(6%ほど)
- 唾液腺がん(5%ほど)
- 甲状腺がん
などあります。詳しくはこちら
がん全体からみると、頭頸部がんの割合は5%程度です。
初期では、がんそのものの症状に乏しく、見逃されやすい傾向があります。
治療法は
- 手術
- 放射線療法
- 薬物療法
薬物治療
PF療法やオプジーボ、キイトルーダなどが使用されます。
PF療法
- シスプラチン(CDDP)
- 5-フルオロウラシル(5-FU)
作用機序
ステボロニンは
ホウ素中性子補足療法(BNCT)に使用されるホウ素薬剤です。
国内初だそうです。
BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)について
出典:オンコロ
ステボロニンはホウ素を含有しています。
質量数10のホウ素です(10B)。
この質量数10のホウ素は
がん細胞に選択的に取り込まれる性質があります。
ですので、がん細胞だけ標的にできます。
がん細胞だけにホウ素(10)が取り込まれ
中性子線を当てると核反応により
がん細胞を攻撃します。
また、
- 正常細胞にはホウ素は、ほとんど吸収されない
- 中性子線のエネルギーは小さい
2つの理由により安全性も高いとされています。
これまでになかった治療法なので
今後の治療成績が楽しみですね。
【17】ボンベンディ静注
ボンベンディの適応は
「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制 」です。
一般名:ボニコグ アルファ遺伝子組み換え
販売メーカー:シャイアー
規格:1300 (1300国際単位 1瓶)
用法・用量:
本剤を添付の溶解液10mLで溶解し、
4mL/分を超えない速度で緩徐に静脈内に注射する。
通常、18歳以上の患者には、
体重1kg当たり40~80国際単位を投与するが、
患者の状態に応じて適宜増減する。
von Willebrand病について
von Willebrand病(VWD)は
一次止血に関与しているフォン・ヴィレブランド因子の
機能低下・欠損・発現量低下によって発症する疾患です。
主な症状
- 鼻出血
- 紫斑・皮下血腫
- 口腔粘膜出血
- 月経過多
- 抜歯や手術時の出血の多さ
すごい出血しやすくなるってことですね。
治療としては
フォン・ヴィレブランド因子を入れてしまえばよいのですが
これまでは治療薬がありませんでした。
なので、第VIII凝固因子の補充療法が実践されていました。
(酢酸デスモプレシンなど)
https://medicalnote.jp/diseases/フォン・ヴィレブランド病
作用機序
ボンベンティはヒトVWF製剤です。
投与されるとVWFとして働き、一次止血が可能となります。
これまでになかった補充療法です。画期的です。
【18】アイラミド配合懸濁性点眼液
アイラミドの適応は
「次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合
緑内障、高眼圧症 」です。
一般名:ブリモニジン酒石酸塩/ブリンゾラミド
販売メーカー:千寿製薬
規格:1mL
(1mL中、ブリモニジン酒石酸塩を1mg、ブリンゾラミド10mg)
用法・用量:
1回1滴、1日2回点眼する。
緑内障・高眼圧症について
緑内障は
目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、
視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。
治療が遅れると失明に至ることもあります。
進行は非常にゆっくりで、
両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、
病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、
日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症するとのこと。
原因:
- 眼圧上昇による視神経の圧迫
眼圧とは
眼球内を流れる房水が
- 作られる量
- 眼内から流れ出る量
のバランスでなりたっている圧力のことです。
何かが原因で房水量が増えると
眼の中がパンパンになることで眼圧が上昇します。
房水の排出方法
出典:参天製薬ホームページ
房水は主に「シュレム管」から排出されます。
この排出経路が阻害されると房水はドンドン溜まっていきます。
結果、眼圧が上昇していきます。
治療は
眼圧を下げるのが目的となります。
- 手術
- レーザー療法
- 薬物療法
薬物治療では
- 房水の産生を抑制
- 房水の排出促進
に着目しています。
作用機序
アイラミドは2つの製品の配合剤です。
- アイファガン点眼液(ブリモニジン)
アドレナリンα2受容体作動薬 - エイゾプト懸濁性点眼液(ブリンゾラミド)
炭酸脱水酵素阻害薬
アドレナリンα2受容体作動薬
⇒房水の産生抑制、房水の排出促進
(ただし、シュレム管ではなく、ブドウ膜強膜)
炭酸脱水酵素阻害薬
⇒房水の産生抑制
今回みたいな
アドレナリンα2受容体作動薬と炭酸脱水酵素阻害薬との配合剤は
国内初らしいです。
【番外編】ゾルゲンスマ点滴静注
ゾルゲンスマ適応は
「脊髄性筋萎縮症 ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る」です。
一般名:オナセムノゲン アベパルボベク
販売メーカー:ノバルティスファーマ
用法・用量:
体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、
1.1×1014ベクター ゲノム(vg)/kgを
60分かけて静脈内に単回投与する。
本品の再投与は しないこと。
2歳未満で13.6kg以上の患者には、
体重に基づき投与液量を算出すること。
脊髄性筋萎縮症(SMA)について
脊髄性筋萎縮症(SMA:spinal muscular atrophy)は
脊髄などの運動神経細胞が変性・脱落してしまうことで
筋力の低下や委縮をしてしまう病気です。
多くは小児期までに発症する病気ですが、
大人になってから明らかになる方もいます。
重症の場合、
出生前の段階で胎動が少ないなどの症状を確認することがあります。
多くの場合は生後6か月ごろまでに発症し、
自力で呼吸できない、ものを飲み込む力が弱い、などの症状が出ます。
5番染色体にある運動神経細胞生存(SMN1)遺伝子の変異によるものです。
SMN1(survival of motor neuron 1)遺伝子は
運動ニューロンの正常な機能を維持するSMNタンパク質を産生しています。
このSMNタンパク質の量が十分でないと、
脊髄内の運動ニューロンが徐々に消失(脱落)し、
筋肉が脳からの信号を受信できなくなります。
脊髄性筋萎縮症の患者は
SMN1遺伝子に変異がある、SMN2遺伝子を有しています。
この遺伝子によって、活性のないSMNタンパク質が作られることで
発症するといわれています。
治療は
リハビリや人工呼吸などの対症療法と
アンチセンス核酸医薬品の「スピンラザ」の薬物療法があります。
作用機序
ゾルゲンスマは
正常なSMN1遺伝子を「カプシド」と呼ばれる
ウィルスの殻「自己相補型 アデノ随伴ウイルス 9型(scAAV9)」
で包んだ構造になっています。
…ウィルスの殻?
まず
静脈内に投与されたゾルゲンスマは血液脳関門(BBB)を通過し、
脊髄に到達します。
標的である、SMNタンパク質産生細胞に侵入し
正常なヒトSMN1遺伝子を放出して、核内に移行します。
核内で永続的にとどまりながら、正常なSMNタンパク質を産生します。
※一回の静脈注射で治療完了しちゃいます。
ゾルゲンスマの発売により
難病の脊椎性筋萎縮症の治療が良くなるかもしれませんね。
まとめ
長くなりましたが、前回に引き続き
新薬18種とゾルゲンスマについて紹介してきました。
各薬剤とも
いろんな作用機序ですごい興味深かったですね。
皆さんも、もっと知りたい薬剤があれば
ぜひ調べてみてください。
また、新薬が出れば紹介していきます。
それではまた!
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