2020年5月20日に薬価収載される薬剤が決まりました。
1億6700万円の薬価がついた「ゾルゲンスマ」が話題ですね。
2020年5月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)にて
新薬薬価が承認されました。
今回は新薬18成分28品目。
そして、薬価が1億円以上という
ノバルティスファーマの「ゾルゲンスマ」も承認されました。
参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000629578.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000629573.pdf
今回は承認された各薬剤を紹介します。
薬価収載された薬剤一覧
今回収載された薬剤は以下の通りです。
再生医療等製品
- 脊髄性筋萎縮症 ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る
ゾルゲンスマ(オナセムノゲン アベパルボベク)
ノバルティスファーマ
新医薬品
1、「統合失調症・双極性障害における うつ症状の改善」
ラツーダ錠(ルラシドン)
大日本住友製薬
2、「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」
メラトベル顆粒(メラトニン)
ノーベルファーマ
3、「高カリウム血症」
ロケルマ懸濁用散分包(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物 )
アストラゼネカ
4、「血栓・塞栓形成の抑制」
キャブピリン配合錠(アスピリン/ボノプラザン)
武田薬品
5、「根治切除不能 または転移性の腎細胞がん」
カボメティクス錠(カボザンチニブリンゴ酸塩)
武田薬品
6、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の
切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」
テプミトコ錠(テポチニブ塩酸塩水和物 )
メルクバイオファーマ
7、「再発 または難治性の中枢神経系原発リンパ腫」
ベレキシブル錠(チラブルチニブ塩酸塩)
小野薬品工業
8、「全身麻酔の導入および維持」
アネレム静注(レミマゾラムベシル酸塩 )
ムンディファーマ
9、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性 」
ベオビュ硝子体内注射(ブロルシズマブ(遺伝子組換え) )
ノバルティスファーマ
10、「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の
欠失が確認 されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー 」
ビルテプソ点滴静注(ビルトラルセン)
日本新薬
11、「2型糖尿病」
オゼンピック皮下注(セマグルチド(遺伝子組み換え))
ノボノルディスクファーマ
12、「インスリン療法が適応となる糖尿病」
ルムジェブ注(インスリン リスプロ(遺伝子組み換え))
日本イーライリリー
13、「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」
ソリクア配合注(インスリン グラルギン/リキシセナチド)
サノフィ
14、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵がん」
オニバイド点滴静注(イリノテカン塩酸塩水和物 )
日本セルヴィエ
15、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌がん」
エンハーツ点滴静注(トラスツズマブ デルクステカン)
第一三共
16、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌 」
ステボロニン点滴静注(ボロファラン)
ステラファーマ
17、「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制」
ボンベンディ静注(ボニコグ アルファ(遺伝子組換え) )
シャイアー・ジャパン
18、「緑内障・高眼圧症で、他の緑内障治療約が効果不十分な場合」
アイラミド配合懸濁性点眼液(ブリモニジン酒石酸塩/ブリンゾラミド )
千寿製薬
ゾルゲンスマ
ゾルゲンスマの薬価は1億6707万7222円となりました。
国内最高薬価ですね。
ピーク時の予想販売金額は42億円。
アメリカでの価格は
212万ドル 2億3162万5000円です。
…高額ですね。
ノバルティスファーマHP
なぜここまで高くなったのか
まず、ゾルゲンスマは超高額医薬品として話題になった核酸医薬スピンラザと同じ疾患治療薬です。
この核酸医薬
もともと生産コストが高い薬剤です。
核酸医薬は制約の多い技術なので、低分子や抗体では絶対に治せないような疾患を標的に
しなければ採算が合わなくなります。そういった疾患は必然的に希少疾患になります。
従って、非常に少ない患者数でも利益がとれるような価格設定が必要になり、
高額になってしまうのですね。
その比較薬のスピラザの一日の薬価に合わせると
加算前のゾルゲンスマの薬価は
1億442万3264円でした。
そこに
- 有用性加算 50%
- 先駆け審査指定加算 10%
が上乗せされて
最終的に1億6707万7222円という薬価がつきました。
ゾルゲンスマの薬価が安い?理由
再生医療等薬剤の取り扱い
ゾルゲンスマは再生医療等薬剤に該当します。
再生医療など製品は個別に医薬品 or 医療機器の例に対応するか判断されます。
ゾルゲンスマは「医薬品」と判断されました。
参考
再生医療等製品の保険上の取扱いに関する 今後の検討についてより抜粋
●再生医療等製品の保険適用に関する当面の間の対応
- 薬事法改正後に承認(条件・期限付承認を含む。)された再生医療等 製品については、保険適用の希望のあった個別の製品の特性を踏まえ、 医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、薬事 承認の結果を踏まえて判断
- 薬価算定組織又は保険医療材料専門組織で償還価格について検討
- 上記検討の結果を踏まえ、中医協総会で薬価基準又は材料価格基準に 収載するかを審議
まとめ
今回は2020年5月20日に薬価収載予定の新薬を紹介しました。
特に注目されたのはノバルティスファーマのゾルゲンスマです。
国内最高薬価なんですね。
各薬剤の作用機序は別の記事で紹介します。
それではまた!
コメント