CKD(慢性腎臓病)治療の現状 CKDの認知度は?【世界腎臓病デー】

疾患・薬剤

毎年3月の第2木曜日は

世界腎臓病デーです。

世界各地でイベントが開催されます。(2020年3月はコロナウィルスで中止になるかも)

 

「世界腎臓デー(World Kidney Day)」とは
腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発するグローバルな取り組みとして
2006年より国際腎臓学会(ISN)と腎臓財団国際連合(IFKF)により開始。
毎年3月の第2木曜日に実施され、世界各地でイベントが開催されている。
https://worldkidneyday.org/

 

それに伴い
日本腎臓病協会と協和キリンが2020年2月18日に東京都でプレスセミナーをやりました。
そこで、CKD(慢性腎臓病)の疾患啓発や認知度について
説明があったので、今回はその内容を紹介します。

 

 

CKDは怖い病気の一つです。
重症化すると透析をするリスクも上がりますので
早めの治療をおすすめします。

 

 

日本腎臓病協会

 

参考記事↓

CKD(慢性腎臓病)とは

CKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)とは

腎臓の機能が継続して低下していく病気です。

 

「腎臓」はオシッコ(排尿)などで血液や老廃物の循環を整えるといった

人体の中でも特に重要な働きをする臓器です。

CKDはあらゆる人に発症のリスクがあり、日本国内の潜在患者は1300万人

(成人の10%~13%)以上もいると言われています。

 

CKDの課題

病気が悪化しているのにも関わらず、見過ごされて治療が手遅れになっていまう点です。

なぜなら、「腎臓」は我慢強い臓器であり、症状が出にくいからです。

手遅れになった状態で初めて症状がでてきてしまいます。

 

 

 

CKDになってしまうと

腎不全や脳卒中、心血管疾患(不整脈や動脈硬化など)のリスクが上昇します。

腎不全にまでなると透析をする可能性もでてきて、日常生活がガラッと変わってしまいます。

 

 

この病気の原因は様々で

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 加齢
  • 運動不足
  • 喫煙

などで発症するケースが多いです。

 

 

CKDの進行段階は大きく5つに分類されます。

悪化すればするほど治療が難しくなり、腎機能の回復も見込めなくなっていきます。

そのため、できる限り早い段階での治療が肝心です。

 

もっと詳しく知りたい方↓

慢性腎臓病の原因と初期症状【CKDとの付き合い方】
新たな国民病と呼ばれる、慢性腎臓病(CKD)について解説したサイトです。慢性腎臓病になりやすい原因や初期症状、予防改善のために取り組みたい「CKDとの付き合い方」について紹介しています。

 

 

 

 CKDの早期発見

CKDの早期発見にはやはり「定期的な健康診断」がベストです。

 

健康診断での尿検査でのタンパク尿が一つの指標です。

タンパク尿は健康な人でも微量ですが尿から排泄されています。【1日あたり約40~120mg】

150mgぐらいまでなら特に問題ないとされています。

 

尿蛋白の正常値というか基準値としては、

【1日あたり15mg/dl以下】が目安。

この数値以下であれば【陰性(ー)】

15mg/dl以上の数値であれば【偽陽性(±)】か【陽性(+)】と診断されます。

 

激しい運動後などはタンパク尿が増加することもあります。
1回の尿検査において、タンパク尿が陽性でも
何らかの病気であると確定できるものではありません。

 

タンパク尿について 参考記事↓

【まとめ】尿蛋白の基準値は?陽性の場合の再検査は?
尿検査は、手軽に負担なく行える検査で、様々な病気の指標ともなるため、多く行われる検査の一つです。 しかし、その尿検査の中でも引っかかりやすい項目の一つに尿蛋白があります。 「尿蛋白(1+)と結果が返って来たけど大丈夫だろ …

 

 

※GFRという指標も非常に重要です。

GFRについては以下の記事を参考に↓

診断基準について | 腎臓病について | 一般社団法人 全国腎臓病協議会(全腎協)
一般社団法人全国腎臓病協議会(略称:全腎協)は、すべての腎臓病患者の医療と生活の向上を目的として、1971年に結成した腎臓病患者の患者会組織です。
クレアチニン検査「e-GFR」でわかる腎臓病の初期症状
血中に含まれるクレアチニンをろ過、尿として排出するのも腎臓の大事な役目。腎機能が低下するとこのクレアチニン値が基準値よりも高くなります。ここでは「eGFR(推算糸球体ろ過量)」という指標に関する情報と慢性腎臓病の進み方、深刻度に関して調べてみました。

 

 

CKDの認知度

日本腎臓病協会と協和キリンは、2019年11月に20歳から50歳代の一般市民1,727名を対象に

健康診断の受診状況と合わせて、CKDに関する認知度について

インターネットによる全国アンケート調査を実施。

 

結果

引用:https://www.atpress.ne.jp/news/205986

 

全体の認知度は50.7%

40代以上と比べて若者のほうが認知度は低い傾向。

「年に1回以上健康診断を受けている」人では認知度53.9%(570名弱)。

 

 

CKDが脳梗塞や腎不全などに繋がる疾患である点を考えれば

もっと認知度が高くなるべきですね。

 

少しでも透析患者を減らす意味でも

早期発見のために若年者への啓発が必要です。

 

CKDへの国の対策は?

東京慈恵会医科大学腎臓高血圧科助教 福井亮先生の講演での内容

 

・厚生労働省は10年ぶりに「腎疾患対策検討会」を設置して目標を掲げた。

  1. 地方公共団体は地域の実績に応じて、報告書に基づき腎疾患対策に取り組む
  2. 地域におけるCKD診療体制を充実させる
  3. 2028年までに年間新規透析導入患者を35,000人以下に減少させる。           (2018年時点で40、468人/年 参考サイト:日本透析医学会

 

対策の具体例。

  • 専門医と一般のクリニックとの橋渡しとして、ガイドラインの作成
  • 糖尿病性腎症重症化予防プログ ラムの活用を推進
  •  CKD 診療体制を充実させる(ex.紹介基準に則った腎臓専門医療機関への紹介率 )

 

 

「目標達成には、国がCKD対策をしている事実を周知させることが重要」とのこと

 

まとめ

今回は日本腎臓病協会と協和キリンのプレスセミナーの内容とCKDについて

簡単ですが紹介しました。

 

CKDは慢性腎臓病であり、悪い生活習慣を続けていると容易に発症する可能性があります。

しかし、糖尿病や高血圧、肥満症などの生活習慣病として広く認知されている病気と比較しても

CKDの認知度は高いとは言えません。

 

CKDは生活習慣病とも関連が深く

20代、30代といった若年期からの生活習慣が発症に大きく影響しています。

若年期の認知度を高めることで早期発見、早期治療が望ましい病気です。

 

 

皆さんも健康診断のときにはタンパク尿やGFRなどを確認してはいかがでしょうか。

もし少し気になるのなら受診するのもいいかもしれません。

 

それを機に生活習慣も見直せるかもです。

 

それではまた!

 

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