薬価改定の内容【2020年4月~】 薬剤費ベースで-4.38%

業界

2020年3月5日に厚生労働省が

2020年度薬価基準の全面改定を官報告示しましたね。

 

 

薬価基準改定の概要↓

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604012.pdf

 

厚生省HP↓

令和2年度診療報酬改定について

 

今回はざっくり改定内容を紹介していきます。

 

皆さんの会社の製品はどうだったでしょうか?

 

2020年薬価基準改定のざっくり内容

今回の薬価基準改定で全体でどれぐらい引き下げられたか。

 

  • 全体改定率
    医療費ベース -0.99%
    薬剤費ベース -4.38%
  • このうち、実勢価等改定分
    医療費ベース -0.43%
    薬剤費ベース -1.98%
  • 市場拡大再算定の見直し等分
    医療費ベース -0.01%
    薬剤費ベース -0.05%

 

薬価算出方法

薬価= 市場実勢価格(税抜)加重平均値 × {1 × 消費税率(0.10)} + 調整幅

調整幅は、改定前の薬価  × 2%

 

 

※参考資料

令和元年 薬価調査の結果

1.平均乖離率 : 8.0%

平均乖離率とは
(現行薬価×販売数量)の総和 -(実販売単価×販売数量)の総和 }

(現行薬価×販売数量)の総和
で計算される数値。

 

2.後発医薬品の数量割合 : 76.7%

後発医薬品の数量割合とは
(後発医薬品の数量)

{(後発医薬品のある先発医薬品の数量)+(後発医薬品の数量)
で計算される数値。

 

3.後発医薬品への置き換えによる医療費適正効果額(年間推計):16,166 億円

そのうち、バイオシミラーへの置き換えによる医療費適正効果額(年間推計):226 億円

(バイオシミラーの金額割合:19.5%)

 

4.妥結率(薬価ベース)= 99.6%

 

新薬創出加算 適応成分

今回、新薬創出が適応した製品は

335成分 555品目でした。

 

 

新薬創出加算の適応製品が多い会社

  1. ノバルティスファーマ  24成分46品目
  2. サノフィ        21成分28品目
  3. ファイザー       19成分35品目
    ヤンセンファーマ    19成分29品目
  4. MSD          12成分20品目
  5. 武田薬品        10成分18品目
    ノーベルファーマ    10成分11品目

 

1位~3位は外資系になりましたね。

内資は武田薬品が6位でした(シャイアー製品除く)。

 

 

後発品が参入するなどして同加算相当額を返還した品目

52成分120品目

  • 抗がん剤アバスチン
  • 腎性貧血に用いるESA製剤ネスプ
  • 抗うつ薬レメロン/リフレックス
  • 排尿障害改善薬ユリーフ
  • 喘息・COPD治療薬のスピリーバやシムビコート
  • 疼痛薬フェントステープ
  • 高リン血症治療薬ホスレノール

 

会社一覧

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604022.pdf

 

対象製品リスト

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604021.pdf

 

当加算を返還した製品リスト

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604023.pdf

 

 

 

市場拡大再算定

市場拡大再算定は14成分40品目に適用されました。

 

市場拡大再算定とは
想定より売れすぎた医薬品に対して、
薬価改定時にふつうの下落幅を大幅に上回る薬価引き下げを行うこと市場拡大再算定について

 

 

製品別の引き下げ率

  • トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬
    ビンダケル    25%引下げ
  • 利尿薬               サムスカ     16.5%引下げ
  • 高尿酸血症・痛風治療薬       フェブリク    14.5~14.6%引下げ
  • 多発性骨髄腫治療薬         レブラミド    15.0%引下げ
  • 卵巣がん・乳がん治療薬       リムパーザ    14.2%引下げ
  • 乾癬・クローン病治療薬       ステラーラ    14.2%引下げ
  • 乳がん治療薬            パージェタ    15.0%引下げ
  • 乳がん治療薬            フェソロデックス 25.0%引下げ
  • 気管支喘息・アトピー性皮膚炎治療薬 デュピクセント  20.2%引下げ
  • 血友病A治療薬            ヘムライブラ   15.0%引下げ
  • 関節リウマチ治療薬         アクテムラ    18.5%引下げ

など。

 

 

今回は2成分が特例

  1. 抗PD-1抗体  キイトルーダ  20.8%引下げ
  2. 抗凝固薬    リクシアナ   25%引下げ
キイトルーダは 「年間販売額が1500億円超かつ予測販売額の1.3倍以上」に該当
リクシアナは  「年間販売額1000億円超かつ予測販売額の1.5倍以上」に該当

 

 

 

効能変化再算定の特例

今回特例の適応製品が一つありました。

効能変化再算定
主な適応に変更があった医薬品の薬価を、
薬理作用の類似した薬に近づくよう引き下げるルール

適応製品

  1. ゾレア   37.3%の引下げ

 

当初の主たる効能効果である

「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」

に対して、令和元年 12 月に

「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で 効果不十分な重症又は最重症患者に限る)」

の効能追加が行われたことに伴い、主たる効能効果が変化したのを受けての特例です。

 

 

当算定の製品一覧

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604019.pdf

 

 

まとめ

2020年度の薬価改定の内容をざっくり紹介しました。

 

全体改定率
医療費ベース -0.99%
薬剤費ベース -4.38%

 

改定の度に薬価が落ちていく。

新薬開発力がなければ生き残れない世の中です。

中小企業頑張りましょう!

 

ちなみに

自社製品の新薬創出加算がなくなっていました。

残念です。

 

後発品の勢いがすごい現状なので

新薬の開発にはドンドンお金を使っていってほしいですね。

国ももっと支援をお願いします!

 

それではまた!

 

 

 

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